遠赤外線の発熱の原理について

遠赤外線の発熱の原理 キュアヘルツ

物質の発熱の原理

 物質を構成している原子のつながりや分子は、物質自体が持っている温度に応じた熱振動(分子運動や結晶の格子振動)をしています。
原子と原子のつながりは、図2の様に球(質量)とバネに例えられるような振動を常に行っていますが、この振動数に対応した波長の遠赤外線を吸収すると、遠赤外エネルギーがバネを激しくゆさぶり、振動が激しくなって熱を発生させます。
プラスチック、ゴム、塗料、繊維、食品などの物質は長い分子から成り、高分子物質と呼ばれていますが、これらは遠赤外線を良く吸収する性質をもっています。

遠赤外線の発熱の原理について
引用:https://www.jeh-center.org/infrared_genri.html

 全ての温度を持つ物体は、温度に応じた遠赤外線を放射しています。
熱は、高いところから低いところに移動します。(熱力学第二法則)
これは、遠赤外線にも同じことが言えます。
また、放射率=吸収率となっており、遠赤外線の吸収率が高いものほど、放射率も高いと言えます。

この吸収率を説明する為に、黒体について説明したいと思います。

黒体とは

 黒体とは、外部から入ってくる放射を、その波長、入射方向、偏向の方向に関わらず、すべて吸収する性質を持つ理想的な熱放射体のことです。
すごく簡単に言うと、100%遠赤外線を吸収する「仮想物体」であること。
「仮想物体」としたのは、黒体とは概念的なものであり、実物するものではない為です。

黒体とは

物体から放射される赤外線の量は、大きくはその物体の材質や表面状態(凸凹など)に依存します。
放射率を説明する上で「黒体」という概念があります。「黒体」はその表面に入射するあらゆる波長を吸収し、反射も透過もしない理想の物体です。一方、現実の物体では多少なりとも、反射、透過があります。
そこで、黒体を基準とした理想的な全放射エネルギーWと物体が放射するエネルギーW’との比率を算出します。この比率を放射率といい、通常εで表します。

物体表面に放射エネルギーが入射すると、そのエネルギーは物体に吸収されるか(吸収率α)、表面で反射されるか(反射率ρ)、あるいは物体を透過するか(透過率τ)に分かれます。しかし、分かれたエネルギーは増えることも減ることもありませんので、入射したエネルギーを1とすると次の関係が成立します。

α+p+γ=1

また、ドイツの物理学者キルヒホッフは、放射エネルギーを吸収しやすい物体は同時に放射しやすいという現象に注目し、放射率と吸収率は等しいという法則を発見しました(キルヒホッフの法則)。

ε=α

たとえば、光沢のある金属では、ほとんどが反射率90%以上です。
したがって、反射率はρ=0.9となり、また光は透過しないので透過率τ=0ですので、

ε=α=1-(p+γ)=0.1

となります。鏡面光沢金属の放射率は一般にこのように低いのです。

物質の遠赤外線放射率の例
放射率の例
Emissivity:真鍋 隆(赤外線技術 第9号(1984) P68~82)より抜粋
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①遠赤外線について遠赤外線の発熱の原理について熱放射に関する4つの法則遠赤外線の可能性について


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