成長ホルモンについて

成長ホルモンについて 健康を考える

成長ホルモンとは

基本的な特徴

 成長ホルモン(せいちょうホルモン、英: growth hormone、GH)は、脳下垂体前葉のGH分泌細胞から分泌されるホルモンである。ヒト成長ホルモンは特にhGH(英: human GH)と呼ぶ。

 主要な成長ホルモンは191個のアミノ酸からなり、分子量は22kDaである。プロラクチンと遺伝子構成・アミノ酸配列が近く、一つの祖先となる遺伝子が重複し、機能が分化したと考えられている。ヒト成長ホルモン遺伝子は17番染色体に位置する。

標的器官に直接働く場合と間接的に働く場合がある。間接的に働く場合、成長ホルモンが肝臓などにはたらきかけ、IGF-1(インスリン様成長因子-1、別名ソマトメジンC)を分泌させ、それらが標的器官に働きかける。

成長ホルモンの利用

外部からの投与

  • 成長ホルモン注射
    1.成長ホルモン分泌不全性低身長症の治療として(保険適用)
    2.運動能力向上薬物として
      プロスポーツ界ではドーピング(競技会外検査で禁止されている物質)に定められている。
    3.美容・アンチエイジングとして
      成長ホルモンの分泌は加齢と共に低下するため、美容外科などで利用されている。
  • 舌下投与
      舌下に成長ホルモンをスプレーし、粘膜から吸収する方法。日本では医薬品に分類される。

分泌促進

  • 睡眠
    成長ホルモンは睡眠中に2時間から3時間の間隔で下垂体前葉より分泌される。
    したがって、子供の成長や創傷治癒、肌の新陳代謝は睡眠時に特に促進される。
  • 運動
    一般的なレジスタンストレーニングや高強度の持久的運動などの、強度の高い運動を行なうと血中の成長ホルモン濃度は200倍程度に増加する。また睡眠中にも同程度に増加する。
  • 加圧トレーニング
    体外から成長ホルモンを投与するのではなく、腕や足をベルトで加圧し血流量を制限することで体内からの成長ホルモン分泌増加を促すトレーニング方法。一般的なレジスタンストレーニングと比べ、低負荷強度の運動で成長ホルモンの分泌亢進が起こる。

体の修復に必要なホルモン:成長ホルモン

 成長ホルモンは、発育期の子供にとって脳や体の成長に役立ちますが、大人になると体の損傷を修復し、疲労回復、脂肪燃焼など新陳代謝に大きく役立ちます。

 成長ホルモンは、寝入って最初のノンレム睡眠時に大量に分泌される為、この時間の睡眠の質で、成長や体の再生に違いが出てきます。再生がきちんと行われていることで、前日の様々な体のダメージを修復し、病気のもととなる疲労などを蓄積させないようにしているのです。また、皮膚の代謝にも大きく関わっているため、睡眠不足は肌トラブルを招きます。

 成長ホルモンは脳下垂体から分泌されますが、年齢と共に減少してくるため、生活リズムを整えて分泌を促進させることが大切です。そして、もっとも効率的なのは、メラトニンの分泌が多くなっている時間帯にノンレム睡眠をとるように時間合わせを行うことです。この2つのホルモンは分泌時間を合わせることで相乗効果を発揮して、それぞれのホルモンの働きを高めることが出来ます。

 また、成長ホルモンは運動することによっても分泌されます。特に、筋力トレーニングなどの無酸素は運動は、筋肉が疲労したり傷つくことで分泌が促進され、その効果は運動後5~6時間続くと言われています。例えば、17時~19時時ころまで筋力トレーニングを行うと、運動によって分泌される成長ホルモンに睡眠時に分泌される成長ホルモンが加わり、体の再生力が高まります。

 成長ホルモンの分泌や働きを助けるには、材料となるアミノ酸を多く含むタンパク質(肉、魚、卵など)を食事からしっかり取ることも大切です。

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