経絡と経穴(ツボ)について

経絡とツボ 健康を考える

経絡と経穴(ツボ)について

全身に張り巡らされた経絡

 東洋医学の治療には薬(漢方)を使う方法と、鍼や灸などを使う方法があります。漢方は服用することによって、からだの内部から変調している部位を治療します。鍼や灸などは、からだの外側から刺激を加え、変調している部位に働きかける治療方法です。

 からだの外側を刺激するだけで、なぜ、臓腑や気・血などの状態を治療できるのでしょうか?
それは、からだには、経絡とツボ(経穴)とよばれるものがあり、体表面と臓腑を互いにつないでいるからです。経絡とツボの存在は東洋医学独自の考え方で、この概念を理解しなければ、治療方法を組み立てることはできません。

 経絡とは気と血が巡る通路のことです。皮膚、筋肉、臓腑などをつないで全身にはりめぐらされています。ですから、からだのどこかに変化が起これば、その変化が経絡を通じて伝わっていき、全身に広がると考えられます。

経絡と経穴(ツボ)について

 特定の臓と腑、からだの部位は、互いに強く関係します。これもそれぞれの経絡がつないでいるからです。たとえば、肝に変調が起きれば、経絡を介してペアとなっている胆も変調してきます。反対に胆が肝の変調を整えるように働き、肝を正常に戻す場合もあります。

 体表面にとりついた外邪は、経絡を通って、からだの奥へと侵入していきます。ですから、侵入された経絡でつながっている部位が次々と悪くなっていることになります。

 臓腑に変調が起きると、経絡を通じて、その臓腑とつながっているからだの表面に異常が伝わります。たとえば、肝が変調すれば、目が腫れてきたり、爪にでこぼこが現れたりします。からだ内部の異常は気付きにくいものですが、からだの表面に現れる変化に注意していれば、そこと経絡でつながっている臓腑の変調を推測することが出来ます。

ツボが経絡とからだの外をつなぐ

 経絡はからだの奥深い部分から、表皮に近い浅い部分まで、さまざまなところを通っています。表皮の近くを通る経絡のところどころには、ツボ(経穴)が存在します。実際に皮膚に穴があいているわけではありませんが、経絡を通っている気は、鍼によるツボ刺激を通じてからだを出入りすることができます。

 ツボを刺激すると、刺激が経絡に伝わって、気や血の流れがよくなります。気や血の流れは、経絡を伝わって、その先にある臓腑に伝わります。気や血がスムーズに流れ込んでいくと、臓腑の機能が活性化するので、変調があったとしても自然に修復されていくというのが、東洋医学の治療の基本的な考え方です。

 この考え方に基づき、東洋医学ではツボを使った治療が行われます。鍼で刺激する方法が鍼治療、灸をすえて熱で刺激するのが灸治療、指や手で押して刺激するのが按摩治療となります。

 弁証論治を行うと、どの臓腑がどのように変調を起こしているかがわかります。変調している臓腑を選び、その経絡上に点在するツボのうち、刺激に敏感であり、臓腑によく働きかけるツボに刺激を与えます。このようなツボを要穴といいます。要穴は変調している臓器の近くにあるとは限りません。たとえば、胃腸のうっごきが悪い時には、膝の下のほうにある足三里というツボを使います。足三里への刺激が足から胃を通っている経絡を伝わって、胃腸の機能を回復させるのです。

 ツボを刺激といっても、鍼でちくちくと刺すだけではありません。たとえば、気が足りなければ気を補う、血が停滞していれば血を動かすといった目的別の鍼の動かし方(手技)があります。症状に合わせて手技を変えることで、効果的に治療できるのです。

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