塩とアルコールと放射線の致死量

塩とアルコールと放射線の致死量 キュアヘルツ

致死量とは

 物質や電磁波の致死量とは、摂取・被ばくすると死に至る量のことです。
急性毒性試験や、中毒事例によりもとめることができます。

 どのような物質も「毒にも薬にもなる」一面があります。
薬は、処方箋がなければ調剤薬局で購入できません。処方箋が必要とされるような薬はすべて、分量や状況においては「危険な毒」であるということが言える為なのです。
 科学ではそのような範囲をあらわす数値を「閾値(いきち)」と呼び、要するに「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということが言えるのです。

 例えば「放射線」は危険なものの代名詞と言えるくらい、危険なイメージがあり、ほんの少しでも浴びると体に悪いものというイメージがあるのではないでしょうか。一方、お酒はどうでしょうか。飲みすぎると体に悪いもの、、、というそんなイメージでしょうか。では、塩はどうでしょう。塩は料理をするとだいたい使いますよね?体に悪いなんて、あまり考えたこともないかもしれません。

 下記では、身近なものの「閾値(いきち)」についてご紹介させていただきたいと思います。

体内での塩の役割

 塩は食事を通して私たちの体の中に入ると水に溶けてナトリウムイオンと塩素イオンという形になります。そして細胞内外の水とミネラルのバランスを整えたり、筋肉を収縮させたり、体中に張り巡らされた神経を通して体の隅々まで情報を伝えたり、私たちが生きていく上で欠かせない大切な働きをします。
 例えば熱中症になったり、激しい下痢や嘔吐を繰り返すと痙攣の症状が現れることがあります。これは筋肉を収縮させる役割を果たすナトリウムイオンなどが大量に失われたために起こります。

塩を摂りすぎるとダメな理由

 熱中症の対策では、塩分を取ることがすすめられていますが、一方、厚生労働省が生活習慣病を予防する目的で掲げた塩分摂取の目標量は1日あたり男性で8g未満、女性は7g未満です。
もし、これらを超えるとどうなるのでしょうか。
 血液中のナトリウムイオン濃度が急激に上昇すると、血液中のナトリウムイオンが体中の水を血液の中に引き込み血管内が水浸しになります。肺の血管内が水浸しになると肺気腫、心臓だと心不全となり心臓や肺に命に係わるような大きなダメージを与えます。だから塩を単品あるいは醤油のように濃縮された形で短時間に接種するのは危険なのです。

塩の致死量

 塩による致死量はどのくらいなのでしょうか。「大学病院医療情報ネットワークセンター=UMIN」によると、体重1kgあたり、塩の半数致死量(LD50=50%の人間が死亡する)は3gと言われています。60kgの成人の場合、180gの塩が致死量ということになります。

塩とアルコールと放射線の致死量

海水と醤油

 戦時中、徴兵を逃れるために一升瓶の醤油を飲む行為がしばしば行われたと聞いたことはないでしょうか。種類によるのですが、醤油の塩分濃度は15~18%であり、体重60kgの人間の半数致死量が180gである為、1リットルほどの醤油を飲むとおよそこれに該当することになります。
一升瓶=1.8リットルなので、体重60kgの人が一升瓶の醤油を飲むことがどれだけ危険かということが良くわかると思います。

※海水の濃度は3.5%であり、5リットルほどの海水を飲むと塩分換算で180gとなる為、やはり致死量となる。海水を5リットル飲むのもそれなりに苦痛を伴うとは思いますが、海水をたくさん飲むと死んでしまうなんて、あまり考えたこともなかったですね。

血中アルコール濃度の算出方法

 次に、アルコールはどうでしょうか。
体重・飲酒量・アルコール濃度から、おおよその血中アルコール濃度を推測することができ、計算式は下記の通りです。

血中アルコール濃度(%)=飲酒量(ml)×アルコール度数(%)÷833÷体重(kg)

つまり体重70kgの人がアルコール度数5%のビールを350ml飲んだ場合は、

350ml×5%/833×70kg=0.03%(血中アルコール濃度)となります。

アルコール量の計算式=飲酒量(ml)×アルコール度数×0.8
※資料:アルコール健康医学協会ウェブサイトの資料を基に作成)

血中アルコール濃度

血中アルコール濃度と症状

 急性アルコール中毒にあてはまる血中アルコール濃度は、およそ0.30%~0.40%であると言われていますが、体質や体調など個人差が大きく、目安です。
下記では、血中アルコール濃度とその症状についてそれぞれ見ていきましょう。

爽快期:血中アルコール濃度0.02%から0.04% (70kg×ビール1杯)

皮膚が赤くなる、陽気になる、判断力が少し鈍るなどの状態になります。

ほろ酔い期:血中アルコール濃度0.05%から0.10% (70kg×ビール2-3杯)

ほろ酔い気分になる、体温が上がる、脈が速くなるなどの状態になります。手の動きが活発になったり、理性が失われたりすることもあります。

酩酊初期:血中アルコール濃度0.11%から0.15%(70kg×ビール4-5杯)

気が大きくなったり、怒りっぽくなったりすることがあります。座っているとなんともなくても、立つとふらつきます。

酩酊期:血中アルコール濃度0.16%から0.30%(70kg×ビール6-10杯)

呼吸が速くなったり、何度も同じことを話したりします。運動失調が出て動きづらくなり、まっすぐ歩けなくなったり、嘔吐したりすることもあります。

泥酔期:血中アルコール濃度0.31%から0.40%(70kg×ビール11-14杯)

まともに立つことが出来なくなり、その時に起きていることが記憶できなくなることがあります。

昏睡期:血中アルコール濃度0.41%以上(ビール14杯以上)

意識障害を起こすことがあります。脳全体に麻痺が広がって呼吸中枢が働かなくなると、最悪の場合は死に至ります。約半数の人が1時間から2時間で死亡します。

放射線の致死量

 放射線については、誰もが危険なイメージを持っていると思います。
放射線においても上記の塩やアルコールと同じく、閾値があると考えられますが、現時点では「しきい値なし仮説(LNT仮説)」を前提として考えられています。

しきい値なし仮説とは、塩は180g摂ると死んでしまうので、1gでも塩を摂るのは危険だというような考えに基づいたものです。10,000mSvの放射線を一度に浴びると人は即死しますが、普通に生きていると全ての人が2.4mSv/年は放射線を浴びているのです。塩も酒も放射線も、大量に摂取すると致命的であることは同じにも関わらず、放射線だけが閾値を設けずに少量でも危険であると、間違った情報を与えられていると言われています。

放射線による影響は下記の通りです。

10,000mSv(10Sv)以上即死
7,000mSv(7Sv)60日以内に100%死亡
3,000-5,000mSv(3〜5Sv)60日以内に50%死亡(骨髄死)、脱毛
1,000-2,000mSv(1〜2Sv)吐き気、発熱、頭痛
500mSvリンパ球減少
250mSv白血球減少
200mSv通常の臨床検査で異常は確認されない
100mSv未満発ガンリスクに統計的差異なし
50mSv放射線業務従事者の基準(年間)
7mSvCT検査(1回)
5mSv健康診断のX線検査
2.4 mSv自然から受ける世界平均の放射線量(年間)
1mSv安全基準(年間)
放射線の恐ろしさ人体への影響をわかりやすく解説

 日本平均では、自然放射線により2.1mSv(0.24μSv/h)の放射線を常時浴びている。
 ※2.1mSv÷365日÷24時間=0.24μSv/h

上図で1mSv(安全基準)としてあるのは自然放射線以外に浴びる放射線の量を1mSv/年以内にしようという安全基準である。

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