体のバランスに関係するホルモン

体のバランスに関係するホルモン 健康を考える

体のバランスに関係するホルモン

男性ホルモン

 男性ホルモンは、男性では睾丸で約95%、副腎で約5%、女性では卵巣や副腎から男性の5~10%分泌されます。

 思春期以降の男性では、睾丸からの分泌が顕著に増加し弾性的な体の特徴が作られます。男性ホルモンは、一般的に30再頃から減少し始め、年に約1.2%の割合で減少します。
 男性ホルモンであるテストステロンは、夜明け前から午前中にかけて分泌量が高まり、男性の生殖機能だけでなく、筋肉の量と強度を保ち、血液を作る際にも重要な役割を果たしています。

 テストステロンの現象は緩やかで、女性の更年期ほど急に急激なホルモン分泌の変化はありません。しかし、男性も40歳を過ぎたころから、やる気が出ない、イライラする、疲れが取れない、眠れないなど心身に不調が起こることがあり、これを「男性更年期障害(LOH症候群/加齢性腺機能低下症)」と言います。特に、強いストレスなどによって、急激にテストステロンが減少すると起こりやすくなります。

 中には、精神的な症状からうつ病と間違われたり、年のせいだろうと放置したりしているケースも多くありますが、気になる症状がある場合は、医師に相談しましょう。

男性ホルモンの分泌を高めるには

 男性ホルモンの分泌を促すには、十分な睡眠を取り、ストレスを溜めないことや適度な運動で筋肉をつけることが大切です。食生活では、肉や魚、卵、牛乳などの良質なタンパク質を欠かさず取ることが大切です。
 また、男性ホルモンと似た動きをし、生成を促す効果のある玉ねぎ、にんにく、ニラ、人参、アボガドなどの食材を意識して取るのも良いでしょう。

血糖値を下げるホルモン:インスリン

 食べ物から取った糖質は、胃腸で消化、吸収されてブドウ糖になり、血液の流れに乗って全身の細胞に運ばれます。そして、膵臓から分泌されるインスリンの働きによって、細胞の中に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。しかし、インスリンの分泌量が少なかったり、働きが悪くなったりすると、ブドウ糖がエネルギーにならず血液中にあふれてしまい、血糖値が高くなってしまいます。そして血糖値をコントロールできなくなると、糖尿病を発症します。

 体内時計の乱れた生活をしていると、インスリン分泌に異常が起こり、糖尿病のリスクになります。また、インスリンは朝効きが良く、夜は効きが悪くなる為、夜の過食は避けるようにしましょう。
食事は、食べ過ぎないように野菜(食物繊維)⇒汁物⇒肉・魚・豆(タンパク質)⇒ごはん・パン(糖質)の順番で食べるなど工夫して、血糖値が高くなりすぎないようにしましょう。

ストレスホルモン:副腎皮質ホルモン・副腎髄質ホルモン

 副腎は左右の腎臓の上部に位置している、大きさ3~4cm、重さ5~6g程度の小さな臓器です。
副腎は、外側の「副腎皮質」、内側の「副腎髄質」の2つの部分で構成されています。副腎皮質からは「副腎皮質ホルモン」が、副腎髄質からは「副腎髄質ホルモン」が分泌されています。

体のバランスに関係するホルモン
体のバランスに関係するホルモン

 副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモンは、代謝活動や免疫機能を調整し、ストレスから体を守る働きがあります。副腎皮質ホルモンの1つであるコルチゾールは、ストレスに反応して分泌されるため、「ストレスホルモン」とも呼ばれています。また、朝に分泌のピークを迎え、血圧や血糖値を上げて起床の準備を整えてくれる目覚めのホルモンでもあります。

 副腎髄質からは、アドレナリン、ノルアドレナリンといった副腎髄質ホルモンが分泌されます。これらのホルモンは、ストレスなどによって交感神経の働きが優位になり、その刺激を受けることで分泌されます。血圧上昇作用、代謝亢進作用、強心作用などの働きがあります。

副腎疲労に注意

 副腎は生命を維持する為に必要不可欠なホルモンを合成、分泌し、ストレスから体を守るという重要な働きがあります。しかし、過剰なストレスに副腎がさらされ続けると「副腎疲労」という状態になることがあります。

 副腎疲労は、過剰なストレスや食生活の乱れなどに対処する為、コルチゾールが大量に分泌され続けることによって起こります。副腎に大きな負担がかかることで働きが低下し、必要なタイミングでコルチゾールなどのホルモンを分泌できなくなり、ストレスに対処できなくなってしまうのです。副腎疲労になると、心身ともに強い疲労感に襲われ、生活習慣病やうつ病、更年期障害や甲状腺の病気を発症することもあります。

 副腎を疲れさせないためには、日頃からストレスを溜めないことが大切です。副腎をケアする食材を積極的に取ることも心掛けましょう。ホルモンの材料となる良質なタンパク質や脂質、特にオメガ3系を含むイワシ、サンマなどの青魚を意識して取りましょう。また、副腎疲労の人が不足しやすいビタミンB群を含む豚肉や卵、貝類に加え、ミネラル豊富な海藻類などもオススメです。

ステロイド薬

 ステロイド薬は、副腎皮質ホルモンを人工的に合成した薬で、免疫機能を調節したり、炎症を抑えるのに用いられます。アレルギー疾患をはじめ、膠原病や感染症などの治療薬として利用されます。

 ステロイド薬には、高血糖、高血圧、満月様顔貌(ムーンフェイス)、体重増加、不眠、感染症、骨粗鬆症、緑内障などさまざまな副作用が出る場合があります。しかし、これらの副作用は大量に長期間使用した場合に起こりやすく、短期間に少量使用する場合には心配はほとんどありません。副作用を心配して、自己判断で中止したり、量を減らしたりすると、かえって症状を悪化させることもあるため注意しましょう。医師の指示に従って、正しく服用(使用)することが大切です。

ステロイド薬

甲状腺ホルモン

 喉にある甲状腺から分泌され、代謝をコントロールするホルモンです。
分泌が過剰になるとバセドウ病(甲状腺機能亢進症)、分泌が不足すると橋本病(甲状腺機能低下症)などになります。

バセドウ病橋本病
体温が上昇、汗をかく、脈拍も速い、食欲旺盛なのに痩せる体温が低下、汗をかかない
イライラして落ち着かない憂鬱になり無気力になる
動悸や息切れがする顔や手がむくみやすい
手や足が震える

 バセドウ病や橋本病の症状は、更年期障害による体調不良と症状が似ているため、発見が遅れてしまうことがあります。不調を感じたら検査を受け、早期に治療を行うことが大切です。

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