セロトニンとメラトニン

セロトニンとメラトニン 健康を考える

セロトニンとメラトニンの働き

 「気持ちの良い1日は朝の習慣から」と言われ、朝は私たちの1日のリズムを作る大切な時間です。
 朝、目覚めると体は徐々に「休息モード」から「活動モード」にシフトチェンジするのですが、この切り替えの役割を果たすのが自立神経です。眠っている時には副交感神経、活動している時には交感神経が優位に働くのが自立神経ですが、この切り替えがうまくいかないと、体温や血圧が上昇しにくくなり、頭も体もスムーズに働きません。体内の親時計に働きかけ、この切り替えスイッチをオンにするのは、朝の光です。

 この朝の光と関係の深いホルモンとして、セロトニンとメラトニンがあります。
朝の光を浴びると、セロトニンの分泌が始まり、親時計がリセットされて活動モードに切り替わります。そして、日が落ちると、今度は日中作られたセロトニンを材料にして、メラトニンの分泌が始まります。メラトニンの分泌量が徐々に増加することで、私たちは眠気を感じ、睡眠に導かれていきます。朝の光をたっぷり浴びて、セロトニンをしっかり分泌させることは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌にとって重要であり、夜の睡眠にとって非常に重要なのです。

 メラトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンからセロトニンを経て体内合成されます。

セロトニンとメラトニン
セロトニンとメラトニンの関係

セロトニンとは

 セロトニンは脳内の神経伝達物質やホルモンとして、精神の安定や食欲、体内時計の調整に関わっています。また、朝の光を浴びたり、リズム運動(ウォーキングやジョギングなど)をすると分泌量が増え、脳を覚醒させて集中力を高めたり、自律神経のバランスを整えたりする働きがあります。
セロトニンが不足すると、気分の落ち込みや意欲の低下、怒りっぽくなる、食欲が増して過食気味になるなどの症状がみられます。セロトニンの分泌を増やすには、材料となるトリプトファン(肉、魚、乳製品、豆類などのタンパク質)や、合成を促進するビタミンB6(鶏肉、さつまいも、カリフラワーなど)を取ることが大切です。

セロトニンの神経作用

 セロトニン神経(5-HT神経)の活動特性は、覚醒時に抵頻度発射(規則的な 3–5 Hz の発射活動)を継続して、標的細胞のシナプス間隙に一定のセロトニンを分泌させ、覚醒状態を維持することです。
痛みやストレスなどの内外環境からの覚醒・ストレス刺激には影響されず、徐波睡眠に移行するとその活動が減弱し、レム睡眠になると、完全に消失します。
 脳内のパターン形成機構によるリズム性運動(歩行運動、咀嚼運動、呼吸運動、グルーミングなど)で興奮し、覚醒状態における種々な活動に適度な緊張(抗重力筋の緊張や交感神経の緊張など)を与える役割があります。覚醒時のセロトニン神経(5-HT神経)系の活動が抑制された状態はうつ病や慢性疲労症候群などの症状を惹起するとされいます。

メラトニンとは

催眠・生体リズムの調整作用

 メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンで、体内時計を調整する働きがあります。
暗くなると体内のメラトニン量が増加し、睡眠を誘う作用が「睡眠ホルモン」とも言われています。
メラトニンが脈拍・体温・血圧などを低下させることで睡眠の準備ができたと体が認識し、睡眠に向かわせる作用がある。また朝日を浴びて規則正しく生活することで、メラトニンの分泌する時間や量が調整され、人の持つ体内時計の機能、生体リズムが調整される。そのため不規則な生活や昼間、太陽光を浴びないような生活を続けるとメラトニンがうまく分泌されず、不眠症などの睡眠障害の原因となります。
 メラトニンは、子供の頃は多量に分泌されますが、思春期を過ぎると急激に分泌が減ります。年齢と共に減少していくため、高齢者は睡眠時間が短くなり、不眠症や時差ボケを起こしやすくなると言われています。

抗酸化作用

また、メラトニンには抗酸化作用や免疫力を高める働きもあります。
血液脳関門を容易に通り抜けることができて、体全体に行きわたる抗酸化物質であると言われており、メラトニンの抗酸化作用により生殖細胞が保護(活性化)され、またホルモンバランスも改善されるため、不妊症の治療に有効であるとの報告があります。

 メラトニンを十分に分泌させるには、日中に太陽の光を浴びて、活発に動くことが大切です。また、ビタミンB12(牛レバー、さんま、いわし、卵、プロセスチーズなど)にはメラトニンの分泌を調整する可能性があるため、意識して取りましょう。

睡眠時のホルモン:メラトニン

 よい睡眠を得るために、体内ではさまざまなホルモンが活動して、体のメンテナンスをしてくれています。
 私たちの体は、明るくなると目が覚め、暗くなると眠くなるという仕組みになっています。眠くなるのは、体内の睡眠薬ともいわれるメラトニンの働きによるものです。メラトニンは、日中はほとんど分泌されず夕方になると脳の松果体から分泌され始めます。そして、分泌されると体温が下がり、眠くなってきます。このメラトニンの働きが、質の良い睡眠につながっています。

 メラトニンは、睡眠以外にも免疫力を向上させたり、心臓血管系を保護したりする働きがあります。また、活性酸素を除去し、若返り効果もあると言われるスーパーホルモンなのです。

メラトニンの分泌量の変化

メラトニンで若返り効果も?!

 寝不足や不規則な生活で、顔色がくすみ、目の下にクマが出来て肌荒れがひどくなったことはありませんか?
 これには、活性酸素が関係しています。活性酸素は昼間活動している時間に生まれる酸化力がとても強い酸素です。体に溜まり続けると老化を促進させ、動脈硬化やアルツハイマー病など、様々な病気を引き起こすと言われています。

 この活性酸素を除去してくれるのが「メラトニン」で、夜の睡眠中に活性酸素を掃き出してくれるのです。「寝ている間にきれいになれる」なんて夢のような話ですが、メラトニンはその夢を叶えてくれます。

 ただし、朝6時から14時まで眠るのと、22時から翌朝6時まで眠るのでは、同じ8時間でも肌の回復力が違います。メラトニンの分泌が抑制されている日中の睡眠では、活性酸素が除去されず、肌荒れはなかなか治まりません。昼夜逆転の生活を続けていると、肌だけではなく体調まで悪くなってしまいますので、早寝早起きを心掛けましょう。

朝のジョギング

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