冷え症について

冷え性について 健康を考える

冷え症について

冷え性(ひえしょう)または、冷え症は、特に手や足の先などの四肢末端あるいは上腕部、大腿部などが温まらず、冷えているような感覚が常に自覚される状態のことである。しかし、病態として統一的な定義は確立していないため、西洋医学的には漠然とした概念として捉えられている。

 病名は西洋医学にはなく病気として扱われず、単に身体の自覚症状(不定愁訴)に過ぎないと考えられていますが、東洋医学では治療すべき疾患とみなされており、医学界の統一的な定義は明確ではありません。

<冷え症(冷え性)とは>

「ひえしょう」には「冷え性」と「冷え症」の2通りの表現があります。 体が冷えやすい「体質」のことを総称して「冷え性」といいます。その中の症状として 「冷え症」があるのです。
 冷え症は女性に多い悩みのひとつで、成人女性の半数以上は冷え症で悩んでいるとも言われています。とくに手足の先など体の中心から離れた部分(末梢)や、腰が冷えると訴える場合が多いようです。
 女性の場合は、食生活や月経の影響で貧血気味の人が多いことと、女性ホルモンの乱れから自律神経がバランスを崩しやすいことから、冷えが起きやすいと考えられていますが、最近では男性の冷え症も増えているようです。

冷え症について

<冷えの原因 3つ>

 1つ目はストレスに伴う冷え(若年型)です。ストレスは交感神経の活動を亢進させます。交感神経は、末梢血管を収縮させたり、筋緊張を高めます。そうすると、体温を運んでくるはずの血液の循環が悪くなるために、血液は滞り、冷えを起こすのです。

 2つ目は内臓に伴う冷え(中年型)です。内臓の機能は内臓体性反射という反射を通じて、皮膚に表れることが知られています。そのため、内臓機能が低下すると、その機能低下が関連する皮膚にも反映され、皮膚の冷えを起こすのです。なお、骨盤内の臓器である腸や子宮、卵巣などは、ちょうど下腿の神経と関連が深いため、腸や子宮、卵巣の機能低下は、足の冷えにつながる可能性があります。なお、足の冷えは、体性内臓反射という逆の反射を通じて、腸や子宮、卵巣などの内臓の状態に影響する可能性があることから、足の冷えは骨盤内臓器と大きく関係していると言えます。

 3つ目は筋肉量の低下による冷え(高齢型)です。筋肉は血液が豊富な組織であることから、体温の維持に大きく関係しているとともに、筋肉は運動に伴い熱を発する発熱器官です。そのため、筋肉量が低下するということは、熱を保持・発熱してくれる天然のカイロを失うことになるため、身体の冷えにつながります。

<冷えに関係する病気・症状>

 月経不順、無月経、月経困難症、月経前症候群(PMS)、不妊症、更年期障害、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、関節リウマチ、腰痛、肩こり、頻尿、膀胱炎、過敏性腸症候群(IBS)、下痢、慢性疲労、不眠など

 「冷え症」の具体的症状には、足が冷えてよく眠れない、冷房にあたるとすぐに体調を崩してしまうといったものがあります。一般的にこれらの症状に対して西洋医学では治療の対象としていませんが、東洋医学では治療の対象としています。
また、冷え性(冷え体質)は「冷え症」のほかに、月経痛、月経不順、頭痛などを引き起こす原因と言われています。冷え症を治療するということは、冷え性(冷え体質)を改善することなのです。

 体のはたらきをよくして、症状を抑えていくことを目的とする漢方治療にとって、まさに熱を作る機能が落ちている冷え症の治療は、得意とするところです。
漢方医学には「気(き)・血(けつ)・水(すい)」という概念があり、冷え症の原因はこれらの異常によって起こると考えられます。具体的には、血が足りない状態(血虚)、血がとどこおっている状態(お血)、水分がたまっている状態(水毒)、気が不足している状態(気虚)などがあります。また、いくつかの状態が重なって冷えが現れたりしている場合も少なくありません。

冷え性の女性

冷え症のタイプについて

 冷え性は「四肢末端型」「下半身型」「内臓型」「全身型」の4種類に大きく分けられるほか、「混合型」や「ほてり型」といったタイプもあります。まずは、それぞれの冷え性のおもな症状や原因を見ていきましょう。

四肢末端型

 手足やその先が冷えやすい四肢末端型の冷え性は、10代から20代の若い女性の中でも、やせ形や過度なダイエットを行っている女性に多く見られます。四肢末端型の特徴的な症状は、次のようなものが挙げられます。

特徴
  1. 手足やその末端が冷える
  2. 寒い場所では手足の先から冷えやすい
  3. 冷えと同時に肩こりや頭痛を感じやすい

 過度なダイエットなどによって食事量が不足すると、体を温める熱を生み出すエネルギーが足りない状態に。その結果、手足の末端まで血流が行き渡らなくなってしまうのです。また、普段あまり汗をかかないという方の冷え性も、四肢末端型であるケースが多いです。

下半身型

腰から下が冷えやすい下半身型は、30代以降の男女によく見られるタイプの冷え性で、次のような症状が特徴的です。

特徴
  1. 手は温かいが、足は冷たい
  2. 上半身に汗をかきやすい
  3. 寒い場所ではふくらはぎや足先が冷えやすい

 デスクワークなど、長時間座った状態では、お尻をはじめとした下半身の筋肉が硬直します。その結果、足の血の巡りが滞ってしまい、下半身の冷えを引き起こしてしまうのです。一方で、上半身には血が巡るため、顔がほてりやすいという特徴も。運動不足によって下半身の筋肉が衰えている場合も、このタイプの冷え性が考えられます。

内蔵型

「隠れ冷え性」とも呼ばれる内臓型は、30代以降の女性に多く見られます。ぽっちゃり体型の方や食欲旺盛な方も、実はこのタイプの冷え性であるケースが多いといわれています。このタイプの冷え性は、次のような症状が特徴的です。

特徴
  1. 手足や体の表面は温かいけれど、お腹が冷えやすい
  2. 全身に汗をかきがち(汗によって冷えやすい)
  3. 厚着をしていても体の冷えを感じる
  4. 寒い場所では下腹部や太もも、二の腕が冷えやすい
  5. 冷えと同時にお腹の張りを感じやすい

 内臓型は手足や体の表面には冷えを感じにくいため、初期では自覚できないケースも少なくありません。しかし、対策をとらなければ内臓は冷え続け、内臓機能の悪化の原因にもなってしまうため、発汗やお腹の張りなどを感じた場合は注意が必要です。内臓型の冷え性には、次のような原因が考えられます。

原因
  1. 過去に腹部の手術を経験したため、血流が悪くなっている
  2. 生まれつき寒くても血管が収縮しにくいため、熱が外へ逃げやすい体質である
  3. ストレスが溜まり、自律神経が乱れている
  4. 体を冷やす飲食物を摂取しがちである

全身型

 全身型は、常に体温が低く、季節を問わず寒さを感じるタイプの冷え性です。若者や高齢者に多く見られ、自覚症状がないケースも多く見られます。
このタイプの冷え性のおもな症状としては、一年中冷えを感じていることから、冷えの自覚症状が乏しいという特徴があります。しかし、慢性的なだるさなども全身型の症状として出ることがあり、そのままにしておくと身体機能の低下にもつながるため、気を付けたいところです。

 全身型の冷え性の原因としては、不摂生や食事量の不足などによる基礎代謝の低下が挙げられます。また、体質や服用薬の影響などによって、全身が冷えてしまうケースもあります。

冷え性の4つのタイプ

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